約 1,138,086 件
https://w.atwiki.jp/gokuaku/pages/16.html
Lv1 シナリオ進行でH開始 最後に「このまま続けていたい」的な台詞あり 楓は、1回目はLv無し、2回目からLv1 Lv2 シナリオで進行 コスプレH(楓は3回目、4回目の際にコスプレ) 楓:スクール水着(競泳用)(3回目) サンタガール(家でのコス)(4回目) 光:メイド服(ツインテール) 智:チャイナ服 日向:バニースーツ 柚:ナース服 Lv3 シナリオで進行 外でのシチュエーション 楓:海(新水着)(エンディング) 光:ラブホテル 智:体育倉庫 日向:テニスコート 柚:図書館 エンディング 4回目以降にハートアイコン「告白する」が登場 告白することで、エンディング 楓は、Lv2以降(楓からの誘い時にフリー)の際に1度都合が悪いで断り 自分から電話呼び出しでエンディング (もしかすると、全員1度は誘いをけらないとだめかも?) 光・日向はこちらから呼び出す必要は無いことを確認 柚・智も同様に、誘いを断る必要はありませんでした。 恐らくシナリオの性質上、楓のみだと思われます。 おまけモードへの追加要素 攻略後、キャラごとに追加要素あり 楓:「お兄ちゃんと呼んでくれる?」 光:「御主人様と呼んで」 智:「キスをして欲しいな」 日向:「恥ずかしい告白をして」 柚:「罵ってくれる?」 「話す」で選択可能 全キャラで追加ボイスあり ただし上記は、全員攻略前提でセーブデータを製作した為、一部要検証です。
https://w.atwiki.jp/unonegi/pages/535.html
【夢の国で】秘密基地エリア58【イチャつくな!】 1~100 101~200 201~300 301~400 401~500 501~600 601~700 701~800 801~900 901~1001 トップページへ 秘密基地編目次へ
https://w.atwiki.jp/shinpiroku_sumireko/pages/35.html
ここは何をする場所なの? ここは私を使って対戦したい初心者に色々と教えるところよ!他のページを見て疑問に思う場所もあると思うからそれらも教える場所でもあるわね。まあ、気楽に見てもらえれば嬉しいわ。 貴女は誰? 多分ストーリーをやってもらってれば分かってると思うけど改めて自己紹介するわね。私は東深見高校一年、宇佐見菫子。泣く子も黙る本物の超能力者よ!主にテレキネシスで看板などを操って戦うわ。他にも色々出来るけどね!あ、このページを書いた人は読めなかったらしいから一応言っておくけど菫子は"すみれこ"って読むのよ。 深秘録が重い... それはつらいわね...ちゃんと動作環境は確認した?時代遅れのパソコンなんて使ってたらガクガクになるわよ?少し重いぐらいなら、まずは深秘録を起動して下の方にあるコンフィグを開いてみて。開いたら背景品質を低にして、垂直同期を無効にしてみると良いわ。大分良くなると思うわよ。描画間隔を1/2にするのは貴方に任せるわ。それでもダメだったら他のソフトを切ってみるとかしてみると多少は良くなるかもしれないわね。やってみて損ではないわ。あと、重いままネット対戦をすると、fpsに敏感な人には切断されちゃうことがあるから気を付けてね。 [[コンボ]]ページとかで言ってる6Aとか4Cとか何言ってるか分からないよ! あれは通常技や必殺技のことを表しているわ。アルファベットはA=通常技(打撃技) B=射撃技 C=必殺技 ね。数字はレバーの入力方向を表しているの。下の画像を見てくれるとよく分かると思うわ。アルファベットが付いてなくて、4とか9の数字だけの場合は移動(急上昇・急降下を表しているわ。ちなみに5はニュートラル状態を表しているの。5Bを例とするなら、何も入力せずに射撃ボタンを押すという感じね。ただ、5Aや5Bは5を省略されてA、Bとだけ書かれたりもするわ。JAやJ2Bは上下軸に居る場合にJが付くの。ジャンプのJね。でも空中戦でジャンプという表記が合わないのかJを付けないこともあるからそこは気を付けてね。あとJ8A(1)とか4C(3)とか6B(5C)の表記はJ8Aが1ヒット、4Cが3ヒットっていう意味で、6B(5C)は6Bか5Cどちらでも良いよっていう意味なの。特にJ8A(1)はよく見ると思うわ。あと、自分が右を向いている状態が大前提だから。6が前で4が後ろよ。大事だからよく覚えといてね。他にも色々あるわ。HB=溜めB(Hold B) LHB=最大溜めHB(Long Hold B) jc=ジャンプキャンセル LW=怪ラストワード などね。jcやLWは後で説明するわ。 最初は何をすれば良いの? ストーリーをやってcom戦で私が選択出来る状態まで行けたならある程度は動かせると思うわ。そしたらプラクティスモードでコンボを練習してみたり、com戦で動きに慣れてみると良いわね。最初からネット対戦に行ってみるのも良いけれど...怖い目に遭うと思うわよ? 貴女の強いところと弱いところは何なの? 自分で強いところを言わせるっていうのはどうなのかしら?まあいいわ。私は他のキャラと比べると動きが緩やかで動かしやすいと思うわ。ただ、悪く言えば速くないから自分から相手に近づくのが難しいし逃げることも難しいのよ。6C(テレポート)で逃げれるけど基本攻められることが多いわね。そこで、私の優秀なレバー打撃が活躍するの!レバー打撃(以下レバ打)っていうのは2A,6A,8Aなどの方向キー+打撃技で出る技のことよ。6Aは横に判定が強く、2Aは下方向に、8Aは上方向と6Aよりは弱いけど左右同時に攻撃できるわ。これらともう一つ優秀な技。そう、テレキネシス 電柱よ!つまり4Cね。相手の後ろから電柱が倒れてくる技よ。主にこれらを使って上手く立ち回るのが良いと思うわ。他に固めで優秀な2C(テレキネシス マンホール)などもあるけど、そこらへんは【立ち回り】ページを見てね。 スペルカードが3つあるけど、どれがおすすめ? おすすめねぇ...おすすめを選ぶのはとても難しいわ。とりあえず一つずつ説明していくから気に入ったものを選べば良いんじゃないかしら。まず一つ目。銃符「3Dプリンターガン」ね。気にしたら負けよ。この符の良いところは打撃属性っていうのと横に射程無限ってこと、そしてガードすると絶対割れるわ。コンボに使っても良いし、5Cからの早口で割っても良いわ。ただ良いことづくしでも無いの。コストが1400で私の三つのスペカの中で一番高いから使うまでに時間が掛かるし、コンボに使う時に後で説明するアプリより当てにくいっていうのもあるわね。じゃあ次。念力「サイコキネシスアプリ」はコスト1000と私のスペカの中で一番少なく、回転率が良いわ。あと、コンボにも繋げやすいし、コンボ中に生宣言を組み込む生宣言コンボを出来る特徴もあるわね。デメリットはアプリの操作に慣れてないとどっかにぶっ飛んじゃうんだけど練習すれば簡単よ。このスペカは基本的にバランスが良いから使いやすい部類ね。そして、最後のスペカは念力「テレキネシス 電波塔」よ。コスト1200と他の二つのスペカの中間ね。使ってみてもらえれば分かると思うけど、攻撃範囲がとても広いわ。広いというかほぼ画面全部ね。ただ、攻撃範囲が広くてもグレイズされちゃ意味がないから出した後に逃げる相手を攻撃したりしないとゲージをどぶに捨てたようなもんだわ。でも動けるようにまでに時間が掛かるから相手をスタンさせた後に出すとかタイミングが肝心ね。 スタンって何? あ!言うのを忘れてたわね。スタンには2種類あって、寝スタンと立ちスタンがあるわ。 寝スタン 立ちスタン 寝スタンは移動起き上がりが出来て、立ちスタンは移動起き上がりが出来ないって覚えておいてね。起き攻めに有利なのは立ちスタンっていうのは分かるわね?立ちスタンさせるには、相手が中央軸に居るときに、大きく吹っ飛ばない技(菫子の近Aや布都の5Bなど)か壁バウンドする技でコンボを〆る必要があるわ。多くのキャラは様々な状況から立ちスタンコンボが出来るのだけれど、私は立ちスタンコンボが苦手だからほとんどのコンボは寝スタンになるわ。頑張れば立ちスタンは狙えるのだけれど難易度は高いから練習は必須ね。 com戦とかネット対戦で出てくるボールとかスポット?とかよく分からないんだけど... オカルトボールとミステリースポットのことね。説明すると、まずボールが出る前に出現のカウントダウンが始まるわ。そしてカウントが0になったらミステリースポットとボールが共に出現するの。スポットはカウントが0になるまで何が出るか誰にも分からないの。ミステリースポットは、対戦中に特殊なルールが一定時間課される状態になるわ。そして、ミステリースポットは全部で7種類あるわ。各ミステリースポットの効果は東方深秘録総合wikiの【ミステリースポット】が分かりやすく解説されてるから必見よ。私が得意なミステリースポットは地獄谷や月の都かしらね。地獄谷はステージの下半分が見えにくくなるから8Aでめくりやすくなったりするわ。まあこっちも見えないから危険はあるけど…月の都は私にとっては色々できるミステリースポットね。弾速が遅くならない技を多く持っているのと、上軸2Cや5Cを使ったら本家STGみたいな弾幕を張って安全に立ち回ったりできるわ。私もいつかは本家STGに出れる日が来るのかしら… ふわふわ浮いているボールはどうしたらいいの? 取って取って取りまくるのよ!ボールに触ると、1P側の時は赤に、2P側の時は青に光るわ。オカルトスポットが終わるまでか、二人合わせて合計七回ボールに触るまでに多く触っていたほうがオカルトボールを取得できるの。私は比較的ボールは集めやすい方だとは思うわ。電柱やレバ打、オカルト技などの技で相手がボールを取ろうとするのを妨害しやすいのよ。 ボールを取ってどういう意味があるの? あら、オカルトボールの凄さを分かってないのね?あのボールは世界各地のパワーストーンで強い霊力を放ってるもので...え?そっちじゃない?あー、ボールは一個以上集めればオカルト技が使えるようになるの。オカルト技は打撃技+射撃技の同時押しで出せるわ。私のオカルト技は少し特殊で、通常時とオカルトスポット出現時の二つに分かれているの。通常時は頭上にオカルトボールを出現させて相手に向かって射出する攻撃よ。敵がどこに居ても対応できる技だから相手に当てやすいけど発生が遅いのが難点ね。だけど当たった時やガード、グレイズさせた時はちっちゃいオカルトボール(以下オカルト玉)が出てオカルトスポットが出現しやすくなるわ。オカルトスポット出現時はオカルトボールから相手に向かってレーザーが出るわ!さすがパワーストーンね!しかも、このレーザーは発生保障があるの。発生保障っていうのは、例えば5Bを出した後に攻撃を受けると5B、つまり飛んでいくカードは消えてしまうの。だけど、発生保障があると、技を出した後に攻撃を食らっても判定が出続けるの。つまりオカルトスポット出現時にオカルト技を出したなら相手の攻撃を食らってもレーザーが当たってくれる可能性が高いってことね。しかも、レーザーが出てる間は私も相手もボールに触れないの。だから触った後にオカルト技を使えば独り占めできるってわけ。あと、ボールを持っていれば持っているほどオカルト技の性能が上がるわ。通常時のオカルト技は発生が早くなって、オカルトスポット出現時のオカルト技はレーザーが太くなるわ。ただ、オカルト技にはデメリットがあって、オカルト技を使うとオカルトオーラが出るの。オカルトオーラが出ている時に攻撃を食らうとボールを全部失ってオカルト技が出せなくなってしまうの。ボールは少し時間が経てば戻ってくるけどね。 何か一発逆転出来るようなすごい技とか無いの? 一発逆転...良い響きね。一発逆転なら怪ラストワード(以下LW)があるの。LWはオカルトボールを四つ以上集めた状態で必殺技+スペカの同時押しで発動するわ。私のLWは全キャラ中で最も強いと言っても過言ではないのよ!まず発生が早く、しかも発生まで無敵。そしてほぼ全画面の判定。相手のレバ打に合わせて切り返しに使えば、簡単に4000以上のダメージを与えられるわ。LWの威力はボールを集めれば集めるほど威力が上がるわ。七個集めて切り返せれば7000ダメは行くわね。これで如何にオカルトボールを取ったら有利になるかよく分かったかしら? キャンセルって何? 行動をキャンセルする、要するに技のモーションの途中に別の技を出すことね。キャンセルには色々あるから、よく使うのを紹介するわね。基本的に打撃技は射撃技か必殺技でキャンセル出来て、射撃技は必殺技でキャンセル出来るの。試しに6A 6B 4Cをやってみてもらえると分かると思うわ。まず6A出したあとに6Bを出すと、明らかに6Aが早い段階で終わってるでしょ?つまり6Aの硬直を6Bでキャンセルしたの。そして、そのあとに4Cを振ると6Bが早く終わって電柱を引っ張る?モーションに入ったわね?これは6Bの硬直を4Cでキャンセルしたってこと。キャンセルの優先順位は打撃 射撃 必殺 早口宣言 スペルカードよ。他には着地キャンセル(以下着キャン)っていうのがあるわ。私を使うには着キャンに慣れないと厳しいわ。試しに2か8に移動した後に中央軸に戻るギリギリに6Aを振ってみてくれる?多分、中央軸で6Aを出すより早くモーションが終わると思うわ。これが着キャンよ。中央軸に着地(着空?)したことによって技のモーションが強制的にキャンセルされるの。これを上手く扱わないと、私のレバ打は発生が遅いから出そうと思っても攻撃する前に着キャンしてレバ打を出そうと思っても出せなかったりするわ。ただ、上手く使えば攻撃を振り終えた瞬間に着キャンすることによって隙を失くすことができるの。あとジャンプキャンセル(以下jc)ね。jcは射撃技や必殺技の硬直を上下にジャンプか飛翔をすることによって隙を失くすことを言うの。これは絶対に覚えておいたほうが良いわ。まあやってたらそのうち自然に身につくと思うけどね。そして早口キャンセル(以下早口)ね。早口は打撃技も射撃技も必殺技もキャンセル出来るわ。しかもjcより早くね。やりかたは技を出した後の硬直時間にスペカボタンを2回素早く押せば早口できるわ。ただ、早口はゲージを一本消費して行うからゲージが一本以上溜まってないと出来ないから気を付けてね。他にもHBキャンセルなんてあるけど、私はほぼ使わないからここでは語らないことにするわ。 [[コンボ]]ページの[[コンボ]]全部覚えられないよ... なんで全部覚える必要があるのよ...最初は5,6個ぐらい覚えておけば大丈夫よ。・中央6A 6B 4C 6 2A HB・端6A 4C 8or2 4C AA8A(2A) HB・8A 8B 4C 8or9 JA J8A HB・8A(1) 8B(4C) 8or9 JA 6B 6 (JA) J8A HB・2A (2B )4C 2or3 (JA) J2A HBを最初は練習すれば良いんじゃないかしら?少し簡単でそれなりにダメージも出るコンボよ。私は比較的コンボが簡単な方だから成功しやすいと思うわ。難しいところはレバ打 HBぐらいじゃないかしら?スペカを使ったコンボは、ガンは... 6A ガンが繋がりやすいわ。アプリは... 2A アプリなら大体繋がると思うわよ。電波塔はコンボ...出来るのかしらね?他にも色々コンボはあるのだけれど、まずは対戦中に当てる回数が多いレバ打から始まるコンボを練習しておくのが無難かもしれないわね。 中々勝てないんだけど...どうすれば良いの? 勝てないには勝てないなりの理由があるってものよ。そうね...例えば、射撃を撒かずに相手に突っこんで行ってない?それはダメよ。このゲームは基本四すくみになってるの。射撃はガードに強く、ガードは打撃に強く、打撃はグレイズに強く、グレイズは射撃に強いの。だけど、じゃんけんのように一つしか出せないわけじゃないわ。例えば、あらかじめ電柱を振っておくとするわね?すると相手は電柱を前にグレイズしてきたとしましょう。ここで私が優秀なレバー打撃でグレイズしてる相手を攻撃すれば見事に当たるでしょ?簡単に言うとこんな感じなんだけど、そう上手くいかないことの方が多いわ。後ろにグレイズされたら流石にレバ打は届かないし、電柱を出したときの隙を突かれたらこちらがコンボをもらってしまうわ。ここらへんの立ち回りはとにかく対戦しないと身に着けられないわね。それか上手く私を使っている人の対戦動画やリプレイを見てみると良いかもしれないわ。参考になるものが沢山あると思うから。あとは他のキャラを知ることかしらね。私のレバ打や電柱とかが強いように、他のキャラにも強いところがあるわ。例えば妹紅。妹紅の強さは中央軸の移動速度の速さと下方向に強い技が多いことね。速さを利用した差し込みや判定が強い8Cなどの技で一方的に追い返したり、打撃を読んで4Cで疑似カウンターみたいなのができるわ。逆に言えば、どの技が来やすいか分かればこちらで対処がしやすくなるの。さっき妹紅は下方向に強いって言ったわね?だから妹紅の上を取れば妹紅のJAや8Cをあまり差し込まれなくなるわ。ただ、こちらの打撃を読んで4Cを振ってくるかもしれないから先に電柱を振っておいたり、思い切って下軸で判定が強い私の8Aと電柱を振り続けて下に引きずりおろすっていうのもありかもしれないわね。簡単にまとめたけどこんな感じかしらね。まあ、こちらが言えることは経験を積まなきゃ勝てないってことね。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tohorpg/pages/326.html
今の段階では仲間にすることは不可能? 一応条件は付属してる簡易データベースに書いてあるが… 加入条件 連続イベントを全て起こした状態で7章クリア 加入最低レベル:70 特性1:超統一物理学 情報が無いため一切不明 特性2:秘封倶楽部 以下略 装備可能: 拳 剣 ナ 杖 習得可能: 全属性 弱点: 人 耐性: 剣 拳 槍 打 ナ 弓 他は一切不明
https://w.atwiki.jp/ochiwiki/pages/1211.html
最近できたカップルについて(→参照)談義していた際のさくらの発言。 この発言により落研“おまえが言うな!名言集”に栄えある殿堂入りを果たした。 ちなみに以前にも赤の他人がイチャついてるところを非難する枕をしている。
https://w.atwiki.jp/nonoraji/pages/85.html
牛山 たれ太さん 郷風さん 冬月さん こんくりーとさん はんまぁさん マッシュさん TAKAさん フェンズさん
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/1539.html
蓮子5 Megalith 2012/06/14 説明しよう。 今、割と面倒なことになっている。 「あははははははははは!!!!!」 笑い声を上げながらケタケタと笑う目の前の少女は、隣の住人もとい宇佐見蓮子。 その手に握られているのは、成人にならねば購入できない飲料。 いわゆる、酒だ。 「手が止まってるぞー!!!飲んでるかー!?」 「………ああ、飲んでるよ」 非常にうっとおしい。 必要以上に俺に絡み、何かにつけてつっかかってくる蓮子なんだけど。 それが更に強化されて、より面倒くさいことになっている。 例えば。 「ほらー!!飲めー!!!」 グラスを近づけて、無理やり酒を勧めてくる。 ちびちびと飲む俺にとっては非常にうざいことこの上ない。 美人なので役得だろうと思う奴もいるかもしれないが、俺にとっては別。 どんな奴だろうと、酔っ払いの相手はご勘弁願いたいものだからだ。 「………いやいや、それお前のグラスだろ」 「つべこべ言わずに飲め―!!!」 俺のツッコミなど無視して、グラスをぐいぐいと押しつけてくる蓮子。 真っ赤な顔と、やや呂律の回っていない口調からするに、もはや酔っていることさえ自覚がなさそうだった。 ただ今までの経験から、ここで断っても結局会話がループするのが分かってしまうのが悔しい。 仕方なく、渡されたグラスを受け取った。 「ほらほらー!!!ぐいっと!!」 「はぁ…………」 覚悟を決めて、一口飲んだ。 アルコールの含んだ独特の飲料が持つ臭いが鼻を突き抜けていき、より酒であることを認識させられた。 透き通るような喉越しと共に、すっきりとした後味が口の中に残っている。 結局、最後まで飲み干した。 「いい飲みっぷりだねぇ!」 「よーし、私も続いて………」 「やめろ、それ以上飲むと倒れるぞ」 机の上には既に開けられた瓶が数本並べたてられているが、その大半は蓮子が飲み干したものだ。 ここまでベロンベロンになるまで飲んだのだから、蓮子の摂取したアルコールの量といったらとんでもないだろう。 正直なところ、吐かないだけマシだと考えてもいる。 ………事後処理など御免被りたい。 「うるさーい!私の酒だぞー!」 「アホか、そのままだと救急車行きだ」 例えそうだとしても、飲みすぎについては一言言わせて貰いたい。 これ以上は、体に毒だと。 「あー………」 大声で叫んだからだろうか、それともようやく本格的に酒が回り始めたのか。 俺から向かって左斜めに位置していたふらついた蓮子を、両手で抱き支えた。 「全く、言わんこっちゃない」 「うー…………」 ちょっとだけ反省したのか、以前ほど暴れることはなくなり大人しくなった。 まるで子供を相手にしているような気分だったが、もう止めて欲しいものだ。 ………無理か。 「………眠たい」 「寝るな、頑張って隣まで行け」 「ほら、起こしてやるから」 「んー………………」 無理やり蓮子を立たせて抱き起そうとするが、立つ気の無い人間を立たせるのは難しかった。 むしろそうやって立たせようとするたびに、俺に抱きつくかのように体重を預けてきている。 その度に蓮子のいろんな部分が密着していろいろと思わざるを得なかったが、それ以上に思うことがいくつか。 「酒臭いまま寄りつくな、重い」 「………女の子に重いとか、言わない………」 非常に酒臭いのである。 あれだけの酒を飲めば、それは当たり前といえば当たり前だった。 おまけに体重を完全に預けられているせいか、結構重い。 自力で立とうという意思が無い蓮子を立たせようにも、こうにもやる気がないのではそれも叶わなかった。 「………」 というか、どんどんお互いに向き合う形になっているのは気のせいだろうか。 ただ支えるだけだったのに。 こう、なんというか。 胸の中で抱きかかえているような状態になってしまっているのは、何故? 実に不思議である。 「…………えへへ、あったかいな」 そう言われて、ドキリと胸が高鳴るのが分かる。 こうも近いと嫌にでも女性だと認識してしまう。 いつもそうだ、馬鹿やっててこうして触れ合う度に"異性"としての違いをまざまざと感じるのだ。 俺は男で、蓮子は女だと。 そう実感する度に、邪な感情が沸き立ってしまうこともあるのだけど。 ただ。 目の前の彼女が、可愛いと感じてしまうのはどうしてだろう? 「こら、寝るな」 「もう無理………心地いいんだもん」 「おやすみ…………」 まるで猫のように丸まって寝てしまった。 俺に思いっきりもたれかかって、幸せそうな寝顔をして。 それを見ていると起こすのを躊躇ってしまう。 「やれやれ………」 かといってこのままという訳にもいかない。 とりあえずベッドに寝かせて、後は自然に起きるまで待つことにした。 さて、この荒れ果てた惨状と化したこの場を片づけるとしましょうか。 気が重くなりそうだったけれども、先ほどよりはマシだと言い聞かせて。 「………今日も終わり、か」 後片付けを済ませ、することもなくなったのでベランダで夜風に当たっている。 火照った体が、冷たい風に晒されることで徐々に冷めていくのが分かる。 数十分前まではふわふわしていた思考回路も、少しずついつも通りに戻っていった。 ふと、今日のここまでの成り行きを思い出す。 週末で明日は休みだとテンション急上昇の夜中に、突然あいつは現れた。 鳴り響くインターホン、覗き穴で見て相手を確認、開いたドアの向こう側には。 「一緒に飲むわよ!」 黒い帽子を被った少女がいた。。 両手一杯の買い物袋を手にして、ニコニコと立っていた。 額や首元には、少しだけ汗が滲んでいて。 それを見て察するに、俺と一緒に飲むために買いこんで来たのだろう。 わざわざ酒屋まで行き、大量の酒をここまで運びこんで。 ………そう思うと、邪険に扱うのは悪い気がした。 「おう、入れ」 今思えば、この時の判断が致命的だったのだと気がつくのは大分後だった。 気がつけば。 「あはははははははは!!!!」 「………………」 すっかり笑い上戸と化した、蓮子の相手をしなければならなくなって。 「おやすみ………」 勝手に寝てしまった蓮子を適当にベッドに寝かせた後には、一人で後片付けをしなければならなくなったのだ。 騒ぐだけ騒いでおきながら、結局自分が満足すれば勝手に寝るという傍若無人っぷりを発揮したのである。 「……………はは」 乾いた笑いが、夜中の住宅街へと響き渡る。 意識しないで漏れたその声は、俺の心を代弁していた。 俺は、宇佐見蓮子に感謝している。 思い立ったら即行動するのが宇佐見蓮子で、それにいつも付き合わされるのは俺だ。 突拍子もなく、こちらの事情などお構いなしにいきなり現れる。 そうして、本人の知る知らないに関係なくいつの間にか巻き込まれているのだ。 それを、俺は好ましいと思っている。 元々口数が少ないこともあってか、近寄りがたいと見られることが多い俺にはあまり知り合いがいない。 そのことについて、少し寂しさを感じつつも"俺には友達など出来ないのだ"と諦めていた。 そんな時、彼女が現れた。 まるで台風のように俺を攫っていき、勝手に巻き込んでは自分勝手に振る舞う。 他人のことなどお構いなしに、自分のやりたいことだけをやる彼女に呆れもした。 ただ、それと同時に混じり気の無い素直な感情をぶつけてくる彼女に助けられた。 いがみ合い、時に助け合い、お互いを思いやりつつ、笑い合って日々を過ごした。 俺にとって、初めての友達だった。 もう付き合い方も分かってきた。 この程度じゃ特に何も驚きはしないくらいには。 慣れ、とは実に恐ろしいものだ。 「………………………」 振り返り、ガラスの向こう側ですやすやと眠る蓮子を見て思う。 楽しい、いつまでもこの時間が続けばいいと。 そう願わざるを得ない。 でもそれと同時に。 このままではいけないと感じてしまっている。 いつか、蓮子の隣が知らない誰かが急に現れるんじゃないかと思うと。 凄く怖い、とても怖い。 いつまでも続けばいいと思っている癖に、このままじゃ駄目だとも思っている。 二律背反。 俺は、蓮子のことを――――――――。 「…………ふぁ………」 思わず欠伸が出た。 気がつけばもう日付はとっくに変わっていた。 もう寝よう、また明日はあるのだ。 部屋に戻って、押し入れから毛布を取りだして体に包まる。 占領したベッドに二人分のスペースは無い。 とすれば選択肢は一つ。 「おやすみ、蓮子」 まるで眠り姫の如く動かない彼女に声をかけて、そっと灯りを消した。 願わくば、彼女の隣に居られますようにと。 そんなことを考えながら、部屋の片隅で徐々に暗闇の中へと溶け込んでいった。 「あ、起きた?」 目を開いて霞むその先、先日は速攻で就寝なさった御方がいた。 その距離といったら、まさしく目と鼻の先だった。 「近いぞ」 「あはは、別にいいじゃない」 そう言って、カラカラと笑う蓮子。 男女の距離感を感じさせないその対応には、最初は酷く驚かされたものだ。 こうなんというか、もっと距離を置くものだと思っていたから。 でも、これが宇佐見蓮子の距離間の取り方なんだろう。 「ベッド、ちゃんと寝かせてくれたんだね」 「そうだな」 「後片付け、全部やってくれたんだね」 「そうだな」 「ね、どうしてそこまで私のためにしてくれるの?」 笑っている、でもやけに真面目そうな顔でそう聞いてきた。 普段のふざけた雰囲気とは違う、蓮子の本気を垣間見たような気がする。 ピリ、と少し空気が変わり始めたことを肌で感じる。 「………さあな、そんなことどうでもいい」 「後始末は俺の役目、それじゃ理由にならないか?」 臆病な俺は、自分に嘘をついて誤魔化した。 少しだけ心が痛んだけど、今の俺には勇気が無かったから。 一歩踏み出すことも出来ない、そんな自分が嫌いになりそうだった。 「……………ふうん」 それで納得したのかどうかは分からないが、蓮子はそう返してきた。 でも正直驚いた、なぜそんなことを聞くのか。 今更になって、どうして理由を尋ねる必要があるのだと。 目の前の彼女が何を考えているのか、全く分からないままだった。 だから、次の蓮子の言葉を待ち望んだ。 その答えは。 「………なんだ、期待しちゃって損した」 「…………………」 受け取った答えに、俺は酷く狼狽しそうになる。 何に対して? どうして? 何故? なんでそんなにも、残念そうな顔をしているんだ? たとえそれが冗談だったとしても、俺はその答えが知りたくて。 期待を胸に、恐る恐る口を開いた。 否定されるかもしれない、拒絶されるかもしれない。 それを今だけは見ないで、前だけを見て一歩踏み出す。 その向こう側に待ち望んだ答えがあると信じて。 嘘じゃない、本当を言葉に変えて。 「…………好きだから」 「…………え?」 きょとんとして、目を丸くして完全に停止する蓮子。 もう止めることはできない、この思いは止まらない。 引き返せはしない、あとはただ進むしかないのだから。 「蓮子のことが、好きだからだ!」 「そうだよ、気がついたら蓮子を見てた、目が離せなくなってたんだ!」 「何もしてなくても頭に思い浮かんで離れないんだよ!」 「どう逃げた所でいつまでも追いかけてくるんだよ!どうすりゃいいんだよ!」 「俺は、俺はっ…………」 震える声を必死に堪えながら、努めて平静のように言葉を捻り出すつもりだったのに。 口を開いて出た言葉は、今まで溜めこんできた重いの数々。 走馬灯のように思い浮かぶ日々と共に、心の叫びが次々に放たれていく。 それでも怖いと思いながらも、高鳴る鼓動を抑えつつ勇気を出して一歩踏み出す。 けれどその勇気も、全て砕け散って消えていった。 「……………」 昨日と同じく、確かな重みを感じた。 ただそれは、もたれかかってくるような重さじゃなくて。 確かな意思で、抱きついたことによる重さ。 蓮子は、俺を抱きしめていた。 「私も」 両手で俺の体を抱え込むように密着していて。 真横にある蓮子の頭が視界の隅に映っていて。 お互いに向かい合わせの状態の中、俺の耳は確かにそう聞こえた。 「私も、好き」 ギュッと、抱きとめる力が強くなった。 もう離さないと、確かな意思を感じつつ。 思いを重ね合わせた。 「大好き」 ずっと待ち望んだ言葉を、胸に刻んだ。 踏み出した向こう側は、夢に見ていた世界だった。 「断られる、受け入れてもらえないと思ってた」 「馬鹿ね、始めから一つしか考えてないわ」 「ただの男友達としか思っていないと考えてた」 「そんな訳ないじゃない、気付け鈍感」 「このままでもいいかと思ってた、ずっと続けばいいと願ってた」 「うん、楽しいもんね」 「そう願いつつも嫌だった、いつか蓮子の隣に俺以外の誰かがいると思うと怖かった」 「大丈夫、誰も奪わせたりなんかさせないから」 「もう、言うことはない?」 全部、蓮子にぶちまけてやった。 洗いざらい、何もかも思い切りぶつけてやった。 その後のことなど何も考えずに、ただただ勢いに任せて。 ああ、そういえばまだ一つだけ言っていなかったことがあった。 「蓮子」 「何?」 今までの分も込めて、最後の言葉を蓮子に全力で投げた。 「…………これからも、よろしくな」 「………言わなくても、そうするわよ」 顔の見えない向こう側で、蓮子が笑っているのが見えた気がした。 蓮子だとすぐに書けるが他だとすぐには書けない、不思議。 ついでに言うと酒は嫌いです、耐性全くなし。 そろそろ長編を書いてみようかな、また何も考えてないけど。 Megalith 2012/06/30 晴れた日の午後、アスファルトの上を駆け抜けていた。 人が走っているような速度ではなく、ましてや自転車で漕いだ時のような速度ではない。 もっと、もっと速い速度で、駆け抜けていく。 中心に映る白い破線と、すっかり色褪せたアスファルトが続く景色を、ただただひたすらに。 グッ、と右足を踏み込めれば、より力強くうなりを上げて駆け抜けていく。 少し視点を下げれば、二つの大きな半円が指し示す内の一つ、左のメーターが六十に差しかかる頃だった。 右足を押し留め、このままの速度を維持し続ける。 「人に運転して貰うのは久しぶりね」 そう告げたのは、助手席に座っている少女。 いや、少女というべきか、それとも大人の女性というべきなのか。 非常に判断に困るところだが、年齢的には大人と言える年齢なので少女ではないということにしておこう。 なんにせよ、隣に座る女性こと宇佐見蓮子は、俺と同乗中である。 「いつも蓮子が運転してたからな」 運転手は俺。 普段とは違う立ち位置で、新鮮さと違和感を感じつつも、標識の先に見えたカーブに備えた。 徐々に速度を落とし、緩やかなカーブをハンドルを切って風を切るかのように曲がっていく。 後半以降から加速し、スムーズな形で加速していく。 少し回していたハンドルを、回した分だけ元に戻してまた駆け抜けていく。 先ほどよりも見晴らしの良い場所に出たのか、強い日差しと共にあの思い出の場所が川を隔てた遠い向こう側に見えた。 いつも散歩する度に通る、あの場所が。 「たまにはいいものね、ここから見える景色も悪くないわ」 「どうだ、いつもと違う景色は?」 「そうね、いい景色よ」 だけど俺はそうもいかない、今の俺は普段とは違う。 じっくりと眺めることも許されないまま、今だけはその場所が見える景色を過ぎ去っていく。 特に刺激もない道を来ていたからか、あるいは久しぶりの運転だからだろうか。 少しだけ疲労感が襲いかかってきたような気がしたので、右手で窓を開くスイッチを押した。 半分ほど開いた窓から風を体に受け、刺激を与えて脳に訴えかける。 少しだけ、気持ちが良かった。 「最初聞いたときは驚いたわ、運転したいなんて言い出すなんてね」 「そういう時もあるさ、免許も財布の中で腐らせるのもつまらないだろ?」 顔写真付きの身分証明書と化した運転免許証も、たまには本来の役目を果たさせてもいいんじゃないかと思う。 きっと先延ばしにしていたら、いつまで経っても始まらないから。 昔の俺と、蓮子のように。 「私はそれでもいいけどね…………今更変わらないでしょ?」 「まあ、そうなんだけどさ」 確かにそうだ。 変わったこともあるけど、変わらないものだってある。 例えば車の運転は蓮子で、助手席でうだうだしてるのが俺だ。 でも今だけは違う、今日はいつもとは違うから。 「彼女を乗せてドライブ、という気分を味わいたかったんだ」 「ちょっとくらいは、彼氏らしいこともさせてくれ」 普段とは違った景色を眺めて見たかったから、ただそれだけ。 それ以上もなく、それ以下もない。 宇佐見蓮子の隣で。 「…………あ、そう」 素っ気ない返事だけど、もう見る必要もない。 運転中で前を見ないで横を見るのは危険だからとか、そういう訳じゃない。 単純に照れているだけだから、本当にそれだけ。 頬杖をつきながら頬を染める蓮子が思い浮かんだけれど、多分それで間違っていないと思う。 いつまで経っても、本当に変わらない奴だ。 そして、可愛い奴めと思う俺も変わらないままだ。 きっとそれでいいのだ、そのままでいいのだ。 「………そういえば、どこに行くか決めてなかったわね」 話題を逸らしたいのだろうか、強引に次へと移ろうとする蓮子。 ここでいじわるしてもいいのだが、拗ねると面倒なのであえて従うことにする。 無粋な真似はするまい、今日は二人きりなんだから。 「確かにな、行き先も特に決めてなかったな」 「どうする、どこか行きたい場所でもあるか?」 青々と広がる空に浮かぶ、雲でも追いかけるくらいでもいい。 昇った日は高い、まだまだ時間などいくらでもある。 二人を乗せた車は、特に目的など無く走り続けていく。 「………じゃあさ、行きたい場所があるんだけど」 「何処だ?」 「もうすぐ夏じゃない、だから海を見てみたいな」 「今度、二人きりで行きたいから」 訂正、行き先は決まった。 さあ行こう。 蓮子が求めるその場所へ。 「………いいね、行こうか」 「うん」 海の見える方向へと、再び走り始めるために。 右足を、グッと踏み込んだ。 今までの反動で短めに、最近書きたいネタがないです。 先週までが異常だったからこれでいいのかもしれません。 あ、いい忘れてましたが前回までの評価、コメントありがとうございました。 Megalith 2012/07/19 真っ白な景色の中を、漂っている。 たくさんの水の上に、体を仰向けにして投げだして浮かんでいるような、そんな感覚。 どこを見ても変わらない風景、延々と続く一色の世界。 自分の体さえ見えないけれど、その景色の中に自分が溶けていくような感覚が心地よかった。 ちょっとずつ自分とその景色の境界線が消えていくような、一つになっていくような、そんな感覚に意識を手放しそうになる。 けれど、その世界の中で唯一何かが俺に干渉してくる。 見えないはずの肩を掴んで上下に揺さぶって、まるで「起きろ」と言わんばかりに。 その手を振り払いたいけれど、見えないものをどうやって掴めばいいのだろう? ああもう、せっかくいい気分だったのにと名残惜しくも、仕方なく俺はそこから起き上がる。 真っ白な世界に心の中で別れを告げて、世界を飛び越えた。 「…………」 両目を開いたその向こうにあるのは女性の顔。 仰向けになっている俺の上で、まるでこれから襲いかかるような格好で覆いかぶさっている。 俺に向かって伸びている手は、視界の端から切れた延長線上、俺の両肩に当てられていた。 包み込むようにして触れられている手とその指が、寝巻の上からも確かな形を俺に伝えている。 なにはともあれ、言うべき言葉をかけよう。 「………おはよう」 「ええ、おはよう」 挨拶と共に返された優しげな声と、柔らかな笑顔。 絶対に見飽きることはない、出来ればずっと見ていたいその顔が目の前にある。 朝一番からそれが見れたということは、俺の気分を高揚させるには最適な燃料で。 起きたばかりで凍結していた思考回路もその熱で溶かされていって、止まっていた歯車が動き出すかのように、体も徐々に感覚を取り戻しつつある。 でもまだ足りない、まだ足りていない。 俺を目覚めさせるには、足りない。 「起きた?」 「いや………まだ少しだけ眠いかな」 少しだけ、あとほんの少しだけ。 もう一度瞳を閉じても、もう眠ることは出来ないだろうけれど。 この微妙な加減のわずかに残る眠気が、俺の目覚めを邪魔する。 顔に冷水でも浴びせれば目が覚めるかもしれないが、この体勢じゃ起き上がることもできない。 押さえつけられた肩を振りほどけばいいとは考えたが、そんなこと出来るわけがなかった。 バランスを崩してケガでもしたらどうする、と。 「まだおねむ?」 「そんなところ」 顔を洗ってくるよ、とそう告げようとしたその前に口を開かれた。 その言葉を理解する間もなく、俺の告げようとした言葉を飲み込まれて。 「これなら目覚めるかしら?」 そう言われた直後に、近づいてくるその顔を眺めているだけで。 光さえ届かない深淵のような瞳に釘付けで、吸い込まれそうなくらいに輝いた黒い宝石から目が離せなくて。 俺は呆けたままで、そこから動くことなく無抵抗のままで。 唇に感じたその感触が伝わるまで、何を言ったのかから何をしたのかまでがようやく理解出来た。 「…………」 柔らかい感触と、ほのかな香りと、わずかに漏れた言葉が俺を刺激する。 飛び上がるような、駆け抜けるような、満たされていくような思いが脳内を駆け巡っていく。 「……………目、覚めた?」 「……………ああ」 スッと離れていっていくその顔は、近づく前とは違っていて。 わずかな赤みを残した頬と、少しだけ不規則な呼吸が妖艶さをより引き立てさせていた。 そこにはもう無いはずなのに、まだ唇に残っているような感触が先ほどの行為を思い出させるには充分で。 寝起き一番のキスか、と考えているうちにもう一度声が聞こえた。 「それじゃあ改めて」 「おはよう、私の旦那様」 先ほどと同じようにして挨拶と共に優しげな声と、柔らかな笑顔を受け取った。 そう呼ばれることにまだ慣れていなくて、くすぐったいような気もするけれど。 呼びかけてくれたのならば、ちゃんと答えるべきだから。 「おはよう、蓮子」 今日初めての、愛しい妻の名前を呼んだ。 ああ、今日はいい日になりそうだ。 死ぬほど忙しいですが、ひとつだけ書けたので ついでにスペースの入れ方変えました、今までと違って見える不思議 暑さにやられたときに思いつきました、多分今も頭湧いてます Megalith 2012/07/30 鐘が鳴る。 それは終わりを告げる鐘で、俺にとって約一週間の苦行から解放を知らせる鐘の音だ。 これから約一ヵ月後に天国を見るか、はたまた地獄を見るかは別の話だが。 まあ、何はともあれ。 これで全ての日程が終了、晴れて自由の身である。 学籍番号や氏名の記入欄の下、長々と論述したその文字の羅列は、用紙のほぼ全てを埋め尽くしていた。 それを所定の回収場所へと提出し、出口と書かれた扉へと向かっていく。 PULLと書かれた扉のノブをこちら側へと引き寄せ、向こう側へと目を向けた先。 上の階から降りてきた人達、俺よりも先に出た人達で埋め尽くされていた。 そんな中、その場所から外れた窓から外の景色が見えるラウンジの一角。 一人の少女、もとい蓮子が待っていた。 俺の視線に気がついたのか、パタパタとこちらに駆け寄る。 「どうだった?」 「そこそこ、多分単位は取れたはず」 「なら安心ね」 俺が階段に向かうのに合わせて、蓮子も隣に並んで歩き出す。 ぞろぞろと向かう人々の波に混ざり、出口へと向かっていく。 恐らく俺と蓮子と同じく、今日で終了した奴らなのだろう。 「今日でしばらくこの大学ともおさらばか」 「そうね、長い休みの始まりよ」 その通り、いよいよをもって長期休暇へと突入する。 遊びつくす奴、バイトに明け暮れる奴、あるいは家でひたすら籠り続ける奴。 選択肢は千差万別だが、きっと学生ならば誰しもが望むであろう一大イベントである。 そしてついに、その時が訪れたということだ。 「今回は死ぬかと思った」 「それ、この前も言ってなかった?………というか」 ただ、その前に立ちはだかる強大な敵を倒さねば、次へと進むことはできない。 本当は別に倒さなくてもいいのだが、その後に地獄へと直行することになるので、結局は立ち向かう以外の選択肢がないのだ。 個人としての技量、日々の積み重ね、あるいは運。 それが試される場で実力を発揮するために、ひたすらペンを動かす作業をしなければならないのである。 まさしく苦行であり、あらゆるものを総動員していかに打ち勝つかを模索し、それを紙に叩きつける。 その作業の単調なことと言ったらないが、だからと言ってサボれば地獄を見る。 そんな恐怖に怯えながら、今日までペンを動かし続けてきた。 「授業にあまり出席していなかったものね、自業自得よ」 「ぐうの音も出ないな」 蓮子の言葉通り、今学期は出席回数がさほどよろしくない状況に陥っていた。 出席点がある講義には可能な限り出席したが、それ以外はかなり酷い有様だった。 同じ講義を受けている知り合いたちがいなければ、今頃真っ白に燃え尽きたボクサーのようになっていることであろう。 誠に感謝を申し上げるところである、本人達には絶対に言わないが。 「蓮子がいなかったらどうなっていたことやら、だな」 「感謝しなさいよ?」 「おう」 その中で、最も俺の手助けとなってくれたのが他でもない蓮子。 いくつかの重要な個所のまとめ、分からない場所の解説をしてくれたのだ。 今日の論述が書けたのも蓮子のおかげということが一番大きい。 助かった、地獄から這い上がってなんとか持ち直せるなどとは思ってもいなかったことだったからだ。 今学期は終了かなと半ば諦めの境地に入っていたけれど、ギリギリで踏み留まれたことは幸運といえる。 それを与えてくれた蓮子には、感謝の言葉しか出ない。 「ありがとうな、蓮子」 「全く、今度はちゃんと出席しなさい」 怒っているというよりは、『しょうがないわね』とそう聞こえる様な声調で俺を叱る蓮子。 いつもそうだ、俺が困っているとそうやって手を差し伸べてくれる。 俺もそれについ甘えてしまうというか、頼ってしまうことが悪い癖だ。 だが、蓮子も俺に甘えているという告白を聞いた限り。 一緒にいると楽しいからと、つい負担を強いているという本心を聞いた。 俺はあまりそのことについて特に考えたことは無いけれど、ひょっとしたら蓮子も同じなのかもしれない。 蓮子が俺を助けることも、俺が蓮子を助けることもお互いにとって当たり前すぎて。 考えるまでも無く、自然とその選択肢をとっているのかもしれないと。 「はーい」 「………本当、返事だけはいいんだから」 今度は呆れたような、それでいてどこか笑っているような表情を俺に見せた。 この表情を見て察するに、恐らく次も助けてくれるだろうと思う。 だがしかし、蓮子に頼りきりというのも何とも情けない話である。 次こそはちゃんと出席しよう、ともう何度目になったか分からない誓いを心の中に打ち立てた。 どうせ守れないだろうが。 「お疲れ様、蓮子」 「うん」 労いの言葉を送る。 いろいろあったけれど、もうこれで終わりだから。 いつもの大学生の日常は一旦終了、これから待っているのは長い長い暇を持て余す日々の始まりだ。 外に出れば強い日差しと、どこまでも澄み渡る青空。 アスファルトの熱気、涼しげな恰好でどこかへと向かう人々。 夏はもう来ている、あとは俺達がそれに乗るだけ。 目の前に広がる世界に飛び込めば、晴れてその仲間入りを果たす。 「…………」 「…………」 どちらから何も言わないで、手を繋いだ。 俺の左手と、蓮子の右手を重ねて一つの結びを作る。 指と指の間の隙間に、蓮子の指がそれを埋めていく。 絡め合ったその手から少しだけ握り返すと、同じく握り返してきた。 俺のじゃない、俺によく似た温度のその温かさを手全体で感じる。 横目で見れば、笑う蓮子の姿がそこにあった。 「………ね、ちょっとだけ寄り道しない?」 「せっかく肩の荷も下りたんだしさ」 「確かにな、そうしようか」 他でもない蓮子の頼みだ、従わない理由はどこにもない。 それにだ、やっとこうして何の気兼ねも無くどこかへ行くこともできる。 妙な後ろめたさも感じることも無く、背負ってきたものを投げ捨てて自由を謳歌できる。 ようやく始まるのだ、俺達の夏が。 「じゃあ行くわよ!」 「はいはい」 蓮子に引かれて、俺も歩き出す。 俺はそれに追いつくように、でも追い越さないように歩幅を合わせる。 いつもの日常が、でも少し違う日常が幕を開けた。 やっと少しだけ時間が空いたので。 とはいってもあんまりネタもないんですけどね。 Megalith 2012/11/21 すっかり冷え込むようになった今日。 暑い暑いと喚いていた時期は遥か昔に通り過ぎて、秋が来たと思ったらこの有様だ。 年月が経つのは早いもんだなと実感しているけれど、それも気がつけばもう過去になっているんだろう。 光陰矢のごとし、とは昔の人はよく行ったもので。 また来年も、きっとこうして同じこと思っているのかもしれない。 そんなことを、帰り道にぼんやりと考えていた。 「どうしたの?」 俺に向かってかけられた声の方へと意識を切り替えてみれば、見知った顔が一つ。 肩に多少かかるくらいの長さの髪と、特徴的なトレードマークの黒い帽子。 いつも通りの白い長袖の服と、黒いスカート。 モノトーンで配色されたその恰好は、一目見れば誰かって分かる。 「ちょっと考え事を」 「そう」 俺の回答に納得したのかは知らないけれど、蓮子はそれに短く答える。 そうしてまた、俺と同じく前を向いて歩き出していく。 思えば、こうして二人で歩くことは何度あったかということも数え切れない。 晴れた日も雨の日も、目的があろうとなかろうと、隣で歩き続けてきた。 その度につまらない争いを繰り広げてみたり、偶には真面目な話をしてみたり。 当たり前な日々だけど、そういう日々を積み重ねてきて、今はこうしてここに立っている。 そして振り返れば様々な足跡があって、それを辿っていけばいろんなことがあったんだって思い出せる。 どれもこれも、俺にとって大事なモノだ。 手放すなんてできない、それはこれからもずっと。 「ねぇ」 「何だ?」 二度目の呼びかけに答える。 先ほどから随分と間は短い、どうしたのだろうかと疑問にもなった。 帽子の影に隠れた表情は、逆光で伸びた影が邪魔でよく見えない。 おまけに声色で判別しようにも、短い言葉では何を考えているのか見当もつかない。 次にどんな言葉が蓮子の口から出てくるのだろうかと、いくつかの予想案を浮かべる。 「………ううん、なんでもない」 「そうか」 その拍子抜けな行動に思わず内心コケそうになったが、平静を取り繕っていつも通りを建て直す。 歯切れの悪い蓮子のこの一連の流れを考えてみるが、やっぱり何も分からなかった。 蓮子のことは分かっているとは思っていたが、この返し方は今までには無かった。 案外、"分かっている"じゃなくて"分かっているつもり"なんじゃないかな、とそんな感想を抱いた。 当然か、蓮子と出会ってから日はそう深いわけでもない。 密度の高い日々を過ごしていくうちに、なんとなく分かっていた気になっていたのかもしれないという結論が生まれる。 今までの積み重ねを否定するわけじゃないけど、蓮子を知るにはまだまだ足りなかったということだろう。 たったそれだけと言いきってしまえば終わりなのかもしれないけど、それじゃあ悲しすぎる。 「あのさ」 「どうした?」 三度目の問いかけ。 一度目は答えたが、二度目は答えることはなかった。 今度はどうなるだろうかという不安と期待、それが入り混じった感情を持って次の言葉を待つ。 さて、何が返ってくるだろうか。 ―――――――以外にも、それは二度目に予想した答えと一致していたのはただの偶然だったのか。 「何を考えてたの?」 なんだ、結局分かってたんじゃないか。 馬鹿馬鹿しい、考えるだけ無駄だったなと投げやりな気分になる。 分かっている、分かっていないなんていう考えを放り投げて、普段通りを取り戻す。 「今までのことを思い出してた」 「へぇ、感想は?」 「……………楽しかった、かな」 「よかったじゃない」 笑う蓮子を見て、それが見れたことを嬉しく思う。 さっきみたいに歯切れの悪そうな、思い悩む蓮子を見るのは面白くない。 黙ってれば美人なんて分かり切っているけど、そんなのは俺の知る宇佐見蓮子じゃない。 つまらないじゃないか、そんなの。 「蓮子」 「何?」 だから、面白い日々をくれる蓮子に向けて言うべき言葉を言おう。 きっと今じゃないと、正面向いて言えないだろうから。 素直じゃないって、人のこと言えないけど。 「ありがとう」 「………何?悪い物でも食べたの?」 随分と酷い言い草だなと突っ込み返したくなったけど、今は言わなくてもいい言葉だ。 ぐっ、とそれを飲み込んで、次の言葉を繋げていく。 「今じゃなきゃ、言えないだろうから」 「だから、もう一度言うよ」 「ありがとうな、蓮子」 「………何よ、恥ずかしいわねぇ」 光の当たる角度が変わったからか、もう蓮子の顔は隠れることも無い。 だから、夕日に照らされる赤さとは違う確かな色を、俺は見逃さなかった。 俺も結構恥ずかしかったけど、蓮子の反応を見て満足する。 頑張って顔を隠そうとするけれど、この距離じゃあ隠すことはできないだろうに。 けれど、今日だけはじっくり見ないでおいてやろうと思う。 「………変なこと言わないで」 「アンタだって顔赤いじゃない、馬鹿」 小さい声で呟いたその言葉も耳に届いたけれど。 今は、都合の悪いことは何も聞かなかったことにしよう。 「逆にさ、蓮子はどう?」 「………私?」 いつも通りを装って、俺に向き直って答えるけれど。 結局、いつも通りにはなっていない。 顔はまだまだ赤いままだ。 「今までを振り返ってどう思う?」 「楽しかった?それともつまらなかった?」 「蓮子がどう思ってるか、俺は聞きたい」 「…………」 そっくりそのままを、俺に向けられた言葉を蓮子に打ち返す。 余計な言葉も付け加えたけど、それは俺に問いかけたときに隠された言葉。 それを表に出しただけ、それだけのこと。 ああ、だから別に蓮子をさらに真っ赤にさせようなんて魂胆はさらさらない。 辱めようなんて、これっぽっちも思っていない。 恥ずかしいのはお互い様、どっちもどっちだ。 「わ、私も」 「楽し、かったわよ」 「………そうか」 必死になって絞り出した、蚊の鳴くようなか細い声。 二度目はないであろう言葉を、聞き逃さないようにしていたから捕まえることはできた。 やっぱり嬉しいけれど、それでも恥ずかしいのはどうしようもない事実だ。 分かっていることでも、言葉にすると違った形になって出てくる。 それにはとても勇気がいることで、確かなモノにするには難しいことだから。 適当にごまかさないで、ちゃんと答えてくれたことに対して嬉しくないわけがない。 「………だから、これからもよろしくね」 「―――――――ああ」 言われなくても、分かってるよって。 頭の中の辞典をどれだけ引いたところで、そんな言葉も出てきやしない。 どこにも。 「………あー、もうこれまでにしましょう」 「アンタのせいよ、顔真っ赤」 「悪いな、そんなつもりはなかったんだが」 「まともに受け取らないでよ、馬鹿」 「そうか」 ちょっとまだぎこちない気もするけど、でも少し経てばまたいつも通りだ。 くだらない子供みたいなやり取り、売り言葉に買い言葉の応酬が始まればそれが合図だ。 でもまだ、今日は始める気にはなれない。 「………ねぇ、今度遠くへ行かない?」 「それはまた唐突だな」 「いいじゃない、それとも嫌?」 いつもできることは明日でいい。 今日にしか出来ないことは今日にやろう、だって今日を逃したら次は無いかもしれないから。 それがもし大事なことだったり、やりたいことだったらどうする。 そんなチャンス、逃すわけにはいかないじゃないか。 「いいけど、行く宛でもあるのか?」 「いいえ、まだ何も決めてないわ」 「………ノープランもいいところだな」 「いいじゃない」 口元だけ笑って、俺に向き直って顔を隠すことなく宣言する。 それは俺の一番好きな顔で、俺の大事なもので。 守りたいもので、いつも隣にあるもの。 「私たちらしくてさ」 「それもそうだな」 それを一番近くで見られるなら、何も言うことは無いから。 また、振り返れるだけの足跡を作りに行こう。 二人で。 ついカッとなって書いた。 反省はしていない。 うpろだ0051 鍵を差し込む。横に回すと音が鳴る。 ドアのノブを捻って開けば、昨日と何も変わらない場所がそこにある。 無駄に縦に伸びたサークル棟、その最上階の小さな部屋。 数少ない羽を伸ばせる空間。頭の中でグルグル回る雑多な思いや出来事を、ブルドーザーのように片隅へと追いやれる。 大きなことも小さなことも、全部まとめて綺麗に出来る。そしてもう一度考え直すことが出来る場所だ。 まるでそこの住人のように我が物顔で居座っても、何も言われないから有難い。 「あー……………疲れた」 いつだったかの処分市で買った、大人が寝れるくらいのソファで寝転ぶ。 適当にあったクッションを枕にして、少しずつ頭を空にしていく。 ――――――――ぼんやりと意識が無くなり始めた頃、突然扉が開く。 いきなりの音に内心驚きつつも、鳴った方向へと首を傾けてみれば、黒いスカートの延長に二本の足がスラリと伸びていた。 見切れた上半身を見るためにもう少し視線を上げてみれば、やっぱり予想通りの人物だった。 「あれ?あんた今日はもういいの?」 「休講になったんだよ」 「ふぅん、そうなの。珍しくサボりじゃないのね」 うるせぇよと返したいところだが、常習犯が何を言ったところで意味がなかったので言わないことにした。 どうせ何か返したところで、それ以上が返ってきそうだし、そんな言い合いをする元気もない。 何より、俺を打ち負かした蓮子の勝ち誇った顔を拝んでも面白くない。 蓮子は部屋の中央にあるテーブルに鞄を置いて、俺に一番近い椅子に座って話しかけてきた。 「寝てた?」 「いいや、今から寝るところだった」 「そっか、ごめんね?」 「気にするな、別にそれほど眠かったわけじゃない」 ソファで寝転がる俺を見て、ひょっとして寝るところを妨害したと思ったのか謝る蓮子。 メリーがいるときは俺に悪態をついたり、つまらない争いを繰り広げたりするくせに、二人になるとそうじゃなくなる。 多少お淑やかになるというか、俺に対する思いやりが増えることが多い。 普段は厳しく当たるのに、特定の状況下では妙に優しくなる。 これは俗に言う"ツ"から始まる四文字ではないのだろうか、そんなことを度々考えている。 変に意地を張るのも、やたらムキになるのも、全部裏に返してしまえば何もかも違って聞こえる。 そう思えば、普段の言葉もやり取りも、全部可愛く聞こえるものだ。 「こうやって話すの、随分久しぶりね」 「まあな、いつも三人一緒だからだろ」 「………そうね、二人になることもないから」 ちょっと考えるような仕草をする蓮子を見て、果たして何を考えているのだろうかと思う。 目は口ほどにものを言うというが、残念ながら読み取ることは出来なかった。 いつもならば簡単に分かるのに、とたんにそれが切り替わると分からなくなる。 思考のトレースをしてみても、所詮相手の頭なんてブラックボックスだ。何が出てくるかは分からないビックリ箱だ。 だから、何か言われたところで驚くのは仕方のないことなのかもしれない。 「ねぇ、メリーのことどう思ってる?」 「唐突な質問だな」 「…………いいじゃない別に――――――――どうなの?」 ここにいない人の話、そして一番俺達と近い人の話。 メリーに対する評価がどうなのか、そんなことを聞かれるというのは考えたことはなかった。 前々から準備していた答えも無ければ、上手くはぐらかすためのいい訳もない。 結局俺が提示できる答えなんて、その場限りで作った急造品だ。 そして、一番嘘から遠い俺の本音でもある。 「優しい奴だよ。細かい所に気は配れるし、控え目で奥ゆかしいし、大人しい女の子だな」 俺自身が結構適当な人間だから、見落としがちなミスとかをカバー出来る。というかカバーしてくれる唯一の人間だ。 積極性には欠けるから振りまわされがちだけど、だからと言って怒ることも殆ど無い。 いると落ち着くのだ。言葉が無くても気まずくなったりしない。 そう言う意味では蓮子とは対極の位置にいる人間だ。外見も中身も含めて。 「………そうじゃなくてさ、もっとこう………ない?」 「なんだ、はっきり言ってくれないと分からん」 「…………その、さ。あんたにとってメリーってどう見えるのかなって」 まだ俺に意見を求めるのか。あれじゃあ蓮子は納得してくれないらしい。 上辺だけをサラッと撫でるようなものじゃなくて、もっと深く掘り下げたようなものが欲しいってことなのか。 ごくごく普通のありきたりな感想じゃなくて、俺自身が抱くメリーに対する思いを見せてほしい。 蓮子の言いたいことは多分、こういうことなのだろうか。 「俺自身、メリーがどうなのかなんて結論は出せない。理解するには日が浅すぎる」 それは間違いはない。俺もメリーも、出会ってそんなに月日が経った訳じゃない。 お互いのことを深く理解するにはあまりに時間が足りなさすぎるし、もっと付き合いがないと分からないことだらけだ。 好きなものは? 得意なことは? 誕生日は? 絶対に許せないことは? ごくごく当たり前なことでも、その殆どは白紙のまま。答えられないことのほうが遥かに多い。 でも、それでも答えられることならある。それは確かなものであって、絶対に揺るがない自信を持てる。 「けど、いなくなったら嫌だ。替えなんて利かない、そうなら俺は悲しむだろうな」 俺の日常を構成する無くせない大事なピース。替えの効かない大きな歯車だ。 無くなれば音を立てて何もかもが崩れていくのだろう、そして最初とは大きく変わり果てた日常へと姿を変えていく。 もうあの笑顔を見ることも、声も聞こえないのだとしたら、絶対にそれを取り戻そうとするから。 メリーがどう思ってるのかなんて知らないし、そんなことは分からない。けど俺はそう思っている。 天秤にかけたら、殆どの物がメリーに傾く。迷う必要など全くない。―――――ただ一つの例外を除いて。 「……………そっか」 蓮子はその言葉を聞いて、どこか納得したような表情を浮かべた。 でも諦められないというような、やっぱり仕方ないというような、いろいろな感情が入り混じっているようだった。 短く返されたその言葉が、さらに説得力を持たせているようで。 そんな顔をする蓮子を、俺は初めて見た。 「…………メリーにやけに肩入れしてるね」 「馬鹿言え、それはお前も同じ…………いや、それ以上だ」 「―――――――――――――え?」 先ほどとは打って変わって、心底不思議そうな顔をする蓮子。本当に理解できていないようだ。 珍しく察しが悪いもんだなと頭をかきつつも、蓮子に向かって話しかける。 整った顔にある揺れる黒い瞳。それに向かってしっかりと見つめた。 嘘なんて付かない、付けない。だからしっかりと聞いてくれよと願いを込めた。 「蓮子、俺はお前のことを大切だと思ってる」 我ながら結構恥ずかしいことを言ったもんだと思うが、嘘をつきたいとは思わない。 捻じ曲げてしまうくらいなら、遠回りしてしまうくらいなら、そのままぶつけてやる。 それは他でもない宇佐見蓮子が見せてくれたんだから、だから俺も同じことをしただけだ。 「――――――――――!」 俺の言葉を聞いて、何を思ったのか顔を背ける蓮子。 その旋回速度と言ったら、正に神速。コマを回す勢いの振り向き具合といったら凄まじい。 俺の投げたド直球に対してその反応。それは、押せ押せのくせして自分が押されると弱いということか。 ――――――――――――なんとまあ、分かりやすい。 「……………な、ななな何を、いいい言って」 「まあまあ、落ちつけよ」 「あ、あんたのせいでしょ!」 それはごもっともだが、そこまで過剰に反応しなくてもいいだろうに。 再びこちらを向いて、真っ赤になって指を向ける。必死に俺を批判する姿は、何処か微笑ましくもあった。 それは可愛いから?美人だから?それとも――――――――。 「………全く、いきなり変なこと言わないでよ」 「嘘じゃないんだけどな」 「――――――――っ!この男は!」 「って、やめろ。こら、人の話を聞け!」 近くにあったクッションを手に、俺に向かって振りまわす蓮子。 照れ隠しは可愛いが、マウントポジションを取ってタコ殴りにするのはご勘弁願いたい。 そりゃ鈍器やら刃物を振りまわして危険ってわけじゃないけど、無抵抗のままいたぶられて無視できるほどでもない。 痛いのは嫌だ。上に乗りつつある蓮子を早々に止めなければなるまい。 「馬鹿、馬鹿、馬鹿!」 「このっ………」 乗られた。しかし構うものか。 一瞬だ、一瞬でいい。狙いは―――見切った、今だ。 「……………あっ」 振り下ろしたクッションを握った手首、それをタイミング良く弾く。 遠く向こうへと飛んでいく物体を眺めながら、武器を剥奪したことに一安心する。 「ったく―――――――――あ」 争った時は気がつかなかったこと。こんなにも近いなんて、今までにあっただろうか? 椅子から乗り出した蓮子は、マウントポジションを取っていた。しかし俺が手首を攻撃したことでバランスを崩した。 振りかぶる勢いを殺すことが出来なかった。そうして今は、ソファで寝転ぶ俺に覆いかぶさるようにしている。 そうだ、それはまるで今から何かしようと言わんばかりの構図で。 「………近い、ね」 「そうだな、襲われてると思われても仕方ないんじゃないか?」 「………そうかもね」 そう言ってみたが、一向にそこから離れようとする気配がない。離れる気がないのか。 腰が抜けたから動けないとか、頭が一杯でもう無理だとか、少なくともそういうことではない。 自らの意思で、そこを離れようとしまいとしている。それは確かだった。 「いいよ、私は気にしないから」 「お前、自分で何を言っているのか分かっているのか?」 その行動で、その言葉で、冗談ではなく何を待っているのかは分かった。 成り行きでいいのだろうか、本当にそれでいいのだろうかという葛藤が、俺が決断することを躊躇わせる。 一瞬であり、永遠のような気がした。でも永遠でありながら一瞬のような気もした。 「―――――私にそれを言わせるの? それとも言わせたいの?」 体内時計の狂い始めた世界で、もう一度投げかけられた言葉が心に響いていく。それで腹は決まった。 全部切り捨てた。何もかも切り捨てた。最後に残った一つだけ残して。 蓮子の後頭部に手を当てて、ゆっくりと引き寄せる。 「―――――――――――――――――――――」 言葉はなかった。 そんなものは必要なかった。 あるのは気持ちだけ、その確かな心だけ。 見えないモノを繋ぐために、見えるモノを繋いでみせた。 「あのさ、もう一度言うけど―――――――――俺は、蓮子が大切だと思ってるから」 「………………うん」 伝わったなら、それで満足だ。 うpろだ0058 ついに今年も後一ヶ月程で終わりを迎えるのだという。三百六十五日という長い日々も、残す所三十日しかないようだ。 三桁にも及ぶ途方も無いような数字。だが、いざ過ごしてみればどうだろう。そんなことは覚えてもいなかった。 気がつけばというように、年明けから今日に至っている。でも覚えている、確かにこれまでの日常に何があったのかを覚えている。 何でもないような日々もあれば、慌ただしかった日々もある。繰り返し繰り返し、飽きることはなかった。 一言で言えば楽しかった。まだこの一年を総括するには少し早い気もするが、そんな感想を抱かざるを得なかった。 だがその前にやることはいくらでも転がっている。思いつくことはたくさんある。なら一つくらい前倒しをしてもいいはずだ。 そう考えている。だから今頑張ることにした。ごくごく当たり前のことだった。 「ねぇ」 「何?」 左上の横側から聞こえてくる声に返しを入れるが、顔をそちらに向けては応えない。 どうせその顔には"つまらない"と言わんばかりの表情があるから、わざわざ見る必要も無かった。見ても仕方が無かった。 そんなことよりも目の前にある紙と、右手を動かすことが最優先。気にするまでもなく、再び作業をするだけに過ぎない。 のんびりしていると明日になる。またいつものように後回しにしてしまって、結局自分が泣きを見るのだから。 「暇よ」 「知ってる」 なので放置を決め込む。相手をしている暇は無いと分かっているので、適当にあしらっておく。 構ったら構ったでうるさいのは目に見えている。これまでの経験からして、どうせそれは間違いなく正しいのだ。 この一年で理解したこと。一番良く分かっていること、一番良く分かってしまったことでもある。身をもって知ってきた。 時に悲しくなるほどに、被害を受けるのは俺だった。矛先は常に俺に向いているのだから、当たり前のことでもある。 「………むぅ」 今度は唸り声を上げた。何をもってその声を上げたのか、そして何を考えているのかは俺には分からないことだ。 表情を見れば多少は分かるのかもしれないが、見たら見たで今度はもっと面倒なことになる予感がした。 根拠や理屈は無いけれど、俺の勘がそうだと言っている。恐らく、宇佐見蓮子は俺の次の行動を待っている。 見えないけれど、視線はずっと俺に向けられているはずだ。きっと、恨めしそうなその目で見続けているのだろう。 「………ねぇ、いつになったらレポート終わるの?」 「さあ?そんなのは、終わってからじゃないと分からないな」 目の前にあるのは、自分の学籍番号と名前が載っている一枚の紙。左上から始まった文章は、今も終わることなく続く。 喋っている間もこうして手は止めないでいる。止めたら最後、左にいる蓮子は終わったものだと勘違いするのだから。 今か今かと待ち続けている、そんな相手に隙を見せたらどうなるか。本当に―――――分かったものではない。 更に何をしでかすか予想もつかないのならば、より一層と言った所。ある意味、俺にとって一番危険人物と言えるのかもしれない。 「早くして!」 「無理だろ」 無理難題を押し付けてきたが、ばっさりと切り捨てた。聞くに値しない言葉、聞くだけ無駄な言葉だった。 三倍速や十倍速でやれるような超人でも無ければ、そう簡単に終わるようなものでもない。どう頑張っても時間はかかる。 それは蓮子も分かってはいるのだ。でも分かっているからこそ、もどかしくて仕方ないのだということは知っている。 だから少しでも早く終わらせるべきだ。右手を動かせばいい、一文字でも早く書ければ終わりに近づくのだ。 「いいじゃない!まだやらなくても充分間に合うでしょ?」 「いやいや、さっさと終わらせといたほうが楽なんだよ」 提出までの期日にはまだ日はある。年末近くまで後回しにしても、間に合わせようと思えば間に合うことは可能だ。 だがそれ以外に予定は詰まってもいる。何より、そんな時期にレポートに追われるような日々は避けたい。 何かあった時の保険としての意味合いもある。二個も三個もやることを抱えたままでは、精神的にも肉体的にも辛すぎる。 やれるうちに芽を潰しておけば負担も減る。転ばぬ先の杖を作るために、今を頑張ることを選んだのだ。 「………つまんないの」 「うるせ」 そんな状態でありながら、蓮子は俺に纏わりついてくるのだった。飽きもしないでよくやるものだと逆に感心する。 人の家に上がり込み、炬燵で暖をとりながら今もこうして俺にいろいろと構ってくる。実に元気である。 別にそれが悪いことだと咎めたりもしないのだが、正直な話レポートを書く時には邪魔以外の何物でもない。 手を出してこないだけまだマシとも言えるが、思考を中断されたりすると効率が落ちるのは避けられないことだ。 呼びかけに応えなければいいのだが――――まあそれはそれで、今度は実力行使に出てくるので仕方が無い。 「…………」 一瞬だけ蓮子の方を見てみれば、いかにも退屈そうな顔をしていた。まるで、お預けを食らった子供のようだった。 同い年とは思えないくらいに落ち着きのない、それでいてワザと俺を巻き込んで振り回そうとする奴がそこにいる。 しかしそんな顔をされると、ちょっとばかり悪いことをしたかなと、少しくらいは冷たい態度を改めようかとも考えた。 だがそれも本当に一瞬のこと。再びレポート用紙に取りかかる。目線が合ってしまえば、絡まれるのは分かり切っている。 「ねぇ」 「何だ?」 このやり取りももう何回目だろうか。数えてはいないが、多分飽きる位には繰り返したはずだ。 では"飽きたのか?"という問いに対しては、否定を返そう。決してそう思ったことはない。今も含め、変わりはしない。 頭ではとっくに分かっているのだ。妨げになるとは分かっている、でもそれでもいいとはっきり言えてしまうのだ。 内心は笑うことを止められない。今だってそうだ。笑うのを堪えるので精一杯、取り繕っているに過ぎない。 「お腹空いたんだけど」 「………はいはい、もうすぐでキリがつくからそれまで待っててくれ」 「――――うん!」 随分と毒されたものだ。去年までの俺ならば、こんなことは言わなかっただろうに。そうさせたのは、他でもない蓮子だ。 頭を上げてその顔を見れば―――仕方ないかと思えてしまう。本当、変わったものだ。 うpろだ0043 とある高校の古い校舎。あと数日で卒業式と言う日、放課後に宇佐見蓮子とその友人である○○はぼんやりと教室に残っていた。 「なあ宇佐見の蓮子さんよ」 「何よ」 「本当に京都に行っちまうのか」 「そうよ。せっかく受かったんだもん、チャンスは大事にしなきゃ」 「殊勝な心掛けだな」 「あんただって特殊宇宙技師になるために渡米するんでしょ。大して変わらないわ」 「まあな」 二人はそれぞれに夢があった。それは普段は交わらないものの、ふとした瞬間に二人はお互いを励まし合うように、あるいは競い合うようにともに夢への道を歩んでいたのだ。しかしそんな二人にも別れの時間が近づいている。 「別に京都でもいいんでしょ?無理に渡米しなくてもこっちでその資格は取れるじゃないのよ」 「宇佐見だって、勉強ならMITなりなんなりと世界トップクラスの大学があるのに何で京都なんだよ」 「乙女の秘密よ」 「漢女の間違いではなかろうか」 「ちょっと表出なさい」 「何も間違っちゃいないだろうが」 軽口もいつもの事だ。思い返せば二人にはたくさんの思い出があった。 「初めて話したのは・・・一年の時だっけか」 「急に昔話?でもそうね、確かこっちから話しかけたんだったわ」 「いきなり“昼飯分けて?”はロマンのかけらもない一言だったと思う」 「そっちだってそれに対して“悪いな、この昼飯は一人用なんだ”って返されればそりゃ奪いたくもなるわ」 「未だにあの行動は釈然としねえ・・・」 学校の閉鎖を知らせるチャイムが鳴りだす。二人とも鞄を持つと教室を出た。 「そんで次にこの廊下で“昼飯寄越せ!”はありえんだろ」 「あんたの弁当が美味しかったのよ」 「俺の手作りだがな」 その後新聞部に問い詰められたっけ、と付け足す。そ知らぬ振りをする蓮子を余所目に、図書室の前を通り過ぎる。 「ここで同じ資料集に手を付けて喧嘩したんだっけ」 「懐かしいなあ。それで図書室の先生にしこたま怒られたのよね」 「それ以降こんな感じで仲良くなったんだっけか」 「あんたと私が仲良しだって?」 「少なくとも俺は友達と思ってるぜ」 「・・・あっそ。あ、それとここも」 屋上へと続く階段。普段は鍵がかかっているのだが 「あんたのピッキングで鍵をこじ開けて、私達だけのサボり場所になったのよね」 「最終的に宇佐見のハイキックで扉を蹴破ったんだろうが。ま、後輩たちが見つけてくれることを祈ろうぜ」 蹴破った扉は簡単にはめ込んであり、近くの針金で蝶番を弄れば開く。その秘密に気付く後輩は何時か現れるのだろうか。 「屋上は色々あったな。空を眺めながら昼飯食ったり」 「夏休みに忍び込んで天体観測もやったっけ」 「あの時だな、お前が時間にルーズだって知ったのは」 「ちょっとくらいは誤差のうちよ。あの流星群は忘れられなかったわね」 玄関で靴を履き替え、自転車小屋へ。一台のママチャリを引っ張り出せば、蓮子は当たり前のように後ろに座った。 「あー、こうやって宇佐見を後ろに乗せるのも最後かもな」 「便利な足が無くなって寂しいわ」 「重い荷物が無くなって清々するけどな」 何よ、と蓮子が睨めどそ知らぬふりをして自転車を走らせようとする。後ろに蓮子が飛び乗り、夕暮れの道を帰り始めた。 「宇佐見の怪しい話に何度もこうやって引きずり回されたな。この町で俺たち以上に詳しい奴はいないんじゃないか?」 「まだよ、まだとっておきの場所が残っているわ」 「おいおい今から行く気か?勘弁してくれよ」 「大丈夫よ、よく知ってる場所だから」 だんだんと黒く染まる空。いつもの通り蓮子の家の近くへ向かおうとすると 「あ、そこを右」 「何言ってんだ、それは俺の家の方だろ」 「だから言ってんのよ」 「俺んち泊まる気か!?」 「どうせ明日も進路決定した私達には関係ない授業よ。サボったって誰も文句言わないわ」 「まあ、そうだが・・・わかった。でも着替え位取って来いよ」 蓮子の家の方に自転車を飛ばせばすぐに到着した。少し表で待っていると、私服に着替えた蓮子が出てくる。 「お待た」 「随分早いな。親の許可そんなに簡単に降りたのか」 「面倒な兄さんがいないから早かったわ。さ、行くわよ」 「分かったからそう急くなって」 再び自転車を走らせれば既に真っ暗だ。自転車の小さなライトだけが目の前を照らしている。 「・・・・・・っしょ、と」 「お、おい宇佐見?」 今まで横座りだった蓮子が急にこちらの背中に引っ付いてきた。ご丁寧にこちらの体に手を回してだ。 「寒いのよ。私の湯たんぽになる権利をあげるわ」 「そいつは至極光栄だが宇佐見」 「何よ」 「お前胸ねえな」 「スケベ!バカ!アホ!死ね!」 「わ、ちょっ、足を蹴るな!転ぶだろうが!」 よたよたしながらもどうにか○○の家に辿り着いた。家の鍵を開けると二人で仲に入る。 「お邪魔しまーす!○○の家、本邦初公開!」 「アホなこと言ってないで先に進め。俺が上がれんだろうが」 ぱたぱたと慌ただしく蓮子は家の中を探索する。対する○○は真っ先に自室に飛び込むと、部屋に転がっていた数冊のエロ本を本棚の裏に押し込んだ。 「へー、ここが○○の部屋?」 「あ、ああ。特に何もないけど」 「エロ本隠してないかなー」 「そんなもん捜すんじゃねえよ。飯作らないぞ」 「あれ、そういえば両親は?」 「今日は二人とも会社に泊まりだとさ。色々と忙しいんだよ、うちの両親も」 「兄弟はいないって言ってたわね」 「お前が妹っぽいってのは分かる気がする」 「何よそれ」 げしげしとこちらの脚を蹴りつける蓮子。ローキックなので色々な心配はない。 「まあ今から飯作るから。どの部屋で寝る?」 「この部屋」 「舐めてんのか」 「うっさいヘタレ童貞」 「なんだと非処女」 「ぶっとばすわよ」 「やれるもんならウボアー!」 蓮子の正拳突きが鳩尾に炸裂。肺の中の空気を出し切り、激しくせき込む。 「おまっ、マジでやるか!」 「レディへの態度が鳴ってないあんたへの教育よ。さ、ご飯を所望するわ」 「このわがままクイーンめ・・・」 まだ痛む体を抑えながら、台所へと向かい食事の用意を始めた。 「どうだ、この俺特製ハンバーグラタンの味は」 「最高。私のために一生ご飯作って」 「普通はそのセリフ逆だろ」 「私ご飯作れないもん」 「特訓しろ。京都では一人暮らしだろうが」 「私と一緒に住めばいいのよ」 「だから無理だって。そんなに俺と一緒がいいか」 「勿論」 「そいつはありがとな」 「・・・まだわからないの」 「あー?」 ぼそりと蓮子がつぶやく。聞き返す○○にとうとう蓮子が声を荒げた。 「私はあんたと一緒に!いたいって言ってるのよ!私はあんたが好きなのよ!」 「う、宇佐見!?」 「どんだけ振り回しても嫌々言いながらついてきて!いっつも美味しいご飯食べさせてくれて!あれだけ優しくしてくれて・・・何とも思ってなかったの!?これじゃ私バカみたいじゃない・・・」 キレたと思えば急に萎れて泣き始めてしまった。あまりの事態に○○はおろおろと慌てふためいている。 「ねえどうなのよ。あんた私のことどう思ってるのよ。何とか言いなさいよ・・・」 「・・・俺は」 「どうなのよ!」 「っ!バカ野郎!俺も好きに決まってるだろ!」 「!」 その言葉に蓮子の嗚咽が止まった。畳みかけるようにして言葉を続ける。 「正直退屈してたんだよ。中学の時はどいつもこいつも勉強ばっかで、高校もそんな感じで。だからこうやって馬鹿みたいに遊べる友達がいて、俺は凄く嬉しかったんだよ!」 「○○・・・はは、私たち両思いだったんだ」 「全く驚きだ。でも残り短い間だけど」 「それだけ沢山思い出作ればいいじゃない。あっちこっちデートしましょうよ」 「初デートが実家って悲しいと思わないか?」 「ご両親にあいさつしないとね」 「勘弁してくれよ。ま、まずは飯を食べてしまうか」 半ば冷め始めたグラタンは不思議と普段よりもおいしかった。きっと大好きな人が目の前にいるから、二人ともそう感じていた。 「じゃ、元気でな」 「あんたこそ、風邪なんてひかないでよ」 「まあ気を付けるよ」 それからしばらく。いろんなところをデートついでに回り、沢山思い出を作ったが、蓮子が京都に行く日がついにやってきた。ヒロシゲのホームで見送りに来た○○が何かを差し出す。 「ほらこれ、餞別だ。開けてみろよ」 少し大きめの箱を押し付けるようにして渡す。やや乱暴に蓮子がその箱を開けると、黒い帽子が入っていた。 「京都って大分暑いんだろ?東京もだけど、熱中症にも気をつけろよ」 「○○・・・ありがと、大切にするわ。じゃあ私からも餞別がいるわね」 「何か持ってんのか?」 「特にないわ。だから」 ぐいっと○○の顔を掴み、一気に引き寄せると、唇に柔らかい感触。 「この蓮子様のスペシャルな餞別貰ったんだから、絶対夢叶えなさいよ!」 そう最高の笑顔を向けながら、蓮子はヒロシゲに乗り込んだ。ホームに発車を告げるベルがこだまする。 『まもなく、ヒロシゲ36号が発車致します。御乗り遅れの無いよう、ご注意ください』 ゆっくりとドアが閉まる。蓮子は既に帽子を被って、こちらに手を振っていた。負けじとこちらも叫びながら手を振り返す。 「蓮子ー!元気でなー!資格取ったら、絶対会いに行くからなー!」 最後に蓮子が何かを言ったが、声は聞こえなかった。あっという間にヒロシゲは行ってしまい、その場には彼だけが取り残された。 「は、ははは・・・」 不思議と○○の心に寂しさは無かった。声は聞こえなかったが、蓮子が何を言ったのかはしっかりとわかったのだ。 「“大好き”か・・・うっし!俺も行くか!」 その気持ちと共に、○○もホームを去った。その数日後、彼もまた夢のために家を去ったのであった。 うpろだ0048 休日ということもあってか、予想通りの賑わいを見せていた。 普段行く時間帯とは違った景色を見せる今、ごった返す人の波に揉まれそうだった。 老若男女問わず、あちこちへと動き回る人々は、皆楽しそうで。 そんな人たちを少し人気のない隅で眺めているが、俺もいずれあの中へ行かねばならぬのだ。 気が重い。混ざるのが億劫だ。正直なことを言うと―――凄く面倒である。 もともと人混みに混ざるのが嫌いな性分だ。出来ることなら、そういう場所は避けたかった。 なぜこんなことになったのか、と思い返すが、結局は自分が悪いのだった。 見上げた先に、数枚の大型パネルが見える。 どこかで見たような、あるいは始めて見る人が映っていた。それは、どれも整った顔立ちの人ばかりだ。 その名の通り、スターがパネルの中で飾られている。意匠を凝らした、目を引き付けるデザインだった。 次はどれにしようか、ぼんやりと今後の予定を組み立てていた。 「お待たせ」 「おう」 呼ばれた声に振り返れば、両手にポップコーンとジュースを抱えていた。 専用のトレーを手にしていたが、そこにあったカップの大きさから察した。 こいつ、一番高い奴を頼みやがったな。 人の金とは言え、随分容赦ないことをしてくれるものだ。 他人の懐事情など知ったことではない、ということだろう。いい性格をしている。 「はい、お釣り」 「……ああ」 とはいえ、反論したところで意味はないのだ。俺が払うと決まった時から、覆されることはない。 大人しく従うのみだ。牧場で飼われる羊のように、ただ従順であるしか許されない。 もしあの時、あの一瞬の判断さえ出来ていればと悔やむ。が、もうどうしようもなかった。 渡した紙幣が僅かな貨幣に変わる、その光景を目の前で見届けたのだった。 「しかし、意外だったな」 「何が?」 「映画が見たい、で済むとは思わなかった」 勝負に負けた。負けた奴が買った奴の言うことを聞く。 非常にシンプルで、最も無慈悲な宣告を相手に突き付けることが出来る。 いつも何かしらいがみ合うような、何かしらを起こす間柄だからこそ、当然あり得ることだった。 そして、俺は負けた。勝ったのは向こうだ。 願いを一つ叶えるという、絶対的なルールに怯えていたが、与えられた試練は容易かった。 拍子抜けした、と思わざるを得なかった。 「見たい映画があったからね、だからこれでいいのよ」 「そうかい」 幸いながら、貯めていた映画館のカードのポイントがあった。 使うアテが無かったわけじゃなかったが、ここでタダにできるなら使わざるを得なかった。 結果的に見れば、被害は最小限で済んでいた。まだ神は、俺を見捨てていなかったということだろうか。 「そういうアンタこそ、勝ったら何をするつもりだったの?」 「一つヤバい単位があるから、そのノートを貰うつもりだった」 「ああ……いつも出席してない2限の講義かしら?」 「持ち込みアリなら、可能性があるからな……落とすのはもったいない」 夢は潰えたが、元々望み自体は薄かった。ただ、上手く繋がりさえすればなんとかなるだろう。 何も自信や確信もなかった。自分の方向へと転がれば、あるいはという希望的観測だ。 期待してはいなかったが、もしという偶然に賭けた。だから、負けたなら諦められた。 「なら、条件付きで見せてあげてもいいけど」 「……条件か」 学食のカードいくら分だろうか。あるいは俺が持っている、福引で当てた商品券が目当てだろうか。 何を対価にするのか、その予想はつかない。今回はたまたま被害は少なくて済んだが、次は分からない。 付き合いもそれなりになるし、こいつのことは大体わかってきたが、それでも頭の中までは読めない。 人の頭の中はブラックボックスだ。本人でさえ分からないことがあるなら、他人が分かるわけないのだ。 宇佐見蓮子がどういう人物かは見ることが出来ても、その内側は知りえない。 「最近、リニューアルしたテーマパークがあるって知ってる?」 「……連れて行けと?」 正解、と少しだけ蓮子は笑って見せた。全く、食えない奴だと度々思い知らされる。 ざっと頭の中で金額換算をしてみるが、財布の中身では到底足りない金額だ。 昨日下ろしたばかりなのだがなぁと思うが、長い目で見れば安いのかもしれない。 単位修得にかける時間と労力を天秤にかければ、まだ許容範囲内といえるだろうか。 ならば、答えは決まった。決断が変わる前に、引き返す前に言葉にしてしまおう。 「……はぁ、分かったよ。試験が終わったら連れてってやるよ」 「本当!?やった!案外、言ってみるものね」 上手く踊らさせた気がしないでもないが、どちらにも利があるのならまだ幸せだ。 そう思いたい。というか、そう思わないとやってられないのだ。余計に負けた気になる。 これ以上の敗北感を味わいたくはない。よりみじめだと実感するし、何より認めたくはなかった。 『――――大変長らくお待たせしました。本日、13 40より上映されます、スクリーン7番にて……』 頭上から聞こえたアナウンスを聞き取ると、すぐさまポケットの中に突っ込んだ紙を手に取った。 上映時間、スクリーンを確認する。それは、先ほどのアナウンスと合致していた。 ああ、もうそんな時間が経ったのか。全く、蓮子といるとすぐに時間が過ぎてしまう。 「時間ね、行きましょ」 「ああ、そうだな」 スクリーン案内口でモギリをやっている列を目指し、蓮子と共に並び歩いていく。 俺の左隣にさも当然のように、悠然と歩く蓮子は未だにニコニコと笑っていた。 お目当ての映画が見れて、さぞ嬉しいのだろう。おまけに懐を痛めることなく見ることが出来るのだ。 それでいてかつ、気になるテーマパークに連れて行ってもらえる、となればこれ以上いいことはない。 俺がもし蓮子と同じ立場なら、同じ顔をするだろう。絶対に。 「やけに嬉しそうだな」 「当たり前よー―――楽しいに決まってるじゃない」 今日一番の笑顔を俺に向けてきた、そこには、裏も陰りも何もない。 全く――――何か言い返そうと思ったが、何も言う気が無くなってしまった。 さも当然のように言い放つ蓮子の言葉は、俺の心に響いた。 「アンタと一緒だし」 俺もだ、と言ったらどうなるだろうか。 今度、テーマパークに行ったときにでも言ってみようか。 それくらいは、許されるはずだ。 Megalith 2016/08/29 「最近ヘンだよ」 蓮子は僕の隣に座ると、部室の窓に打ち付ける雨音にかき消されないよう、耳元でそう呟いた。 「もとからだよ」 僕はそう言い返した。 初めて会った時からずっと、蓮子には『キミは変わってるね』と言われ続けているのだ。 「いや、やっぱりヘンだよ。普段のキミはもっとヘンテコな人間だったはず。 なのにここ最近は、何というか、マジメになってるって言うか……」 「……」 雨はまだ続きそうだった。 ーーー メリーさんが突如、帰省すると言い出したのは夏休みが始まってすぐのことだった。 「そういえばメリーの実家ってどこ?」 駅のホームで蓮子は尋ねた。 「地球上のどっか」 「そっか。それじゃあまたね!」 いや、それでいいのかと思いつつ、僕らはメリーさんを見送った。 メリーさんが抜けたからと言って倶楽部の活動が休止するわけもなく、 僕はメリーさんの分まで蓮子に連れ回された。 山、海、渓流、廃墟、その他もろもろ。 蓮子は気の済むまで探索し続けた。 「う~む、景色はいいけど何か違うんだよなぁ」 入道雲を背景に、夏草茂る草原に蓮子は立ち尽くしていた。 青と緑と白黒のコントラストは、どこか絵画のように見えた。 「ほら、はやく来なよ!」 そう言って振り返った蓮子の笑顔は、追憶のように僕の心に染み込んだ。 ーーー 蓮子は僕の顔をのぞきこんだ。 僕は少し視線をそらす。 「何か隠し事でもあるの?」 蓮子はにやりと笑う。 「人生なんて隠し事だらけだよ」 「あっそ」 蓮子はつまらなそうに窓の外に目を向けた。 「雨、止みそうにないね」 「もうずっと止まないかも知れない」 「そうかもね」 溜息をつきながら、蓮子は頬杖をついた。 「このままこの薄暗い部室に、キミとずっと閉じ込められたまま……悲しいね」 「別に悲しくなんてないさ」 「やっぱりヘン!」 蓮子がまた僕の方を向く。 「いつもなら『コンビニで傘買って帰るね』とか、空気読めない発言する場面なのに!」 僕は飲みかけのコーラの缶に口をつけたまま、黙って肯いた。 「最近、うまく言葉が出ないんだ」 「うん?」 蓮子は不思議そうな顔をする。 「出ない、と言うより言葉を選んでしまう感じかな、必要以上に」 「適当に話せばいいじゃない、いつもみたいに」 「蓮子のせいだよ」 「わたしの?」 蓮子が訝しげに僕の顔を覗きこむ。 「どうして?」 「わからない」 「いつから?」 「ここ数日かな。まともに蓮子の顔が見れないんだ」 「なんで?」 「胸が締め付けられるようにくるしい」 「えっ……?あっ」 蓮子はハッとした表情をしたかとおもうと、窓の方に向き直った。 「キミの症状の原因、判ったかもしれない」 そう言って、蓮子は帽子のつばで恥ずかしそうに顔を隠した。 「もしかしたら私が治療出来るかもしれない」 「ホントに?」 「でも……治るのは数分後かもしれないし、あるいは数十年後かも」 「ずいぶんアバウトなんだね」 「手」 蓮子は僕の方に体ごと向きながら、机の上に左手を置いた。 「ん?」 「手、だしてよ」 僕は右手を机の上に置く。 蓮子はそっと自分の手を僕の手に重ねた。 「どう、かな?」 蓮子はほおを紅潮させながら、僕に尋ねる。 「どうって……もう心臓止まりそうだよ」 「大丈夫、しばらくこのままでいればきっと大丈夫」 外では雨風がよりいっそう強まっていた。 窓に打ち付ける雨音だけが、部室に響いている。 蓮子は目を閉じ、静かに微笑んでいた。 僕もそっと目を閉じる。 暗闇の中、右手から感じる蓮子の体温だけが、この世界のすべてだった。 僕は蓮子の指と指の間に、自分の指を絡めた。 蓮子の細い指先から、さらに彼女の体温を感じ、気分は高揚していた。 「蓮子」 彼女の名を呼んですぐ、僕は蓮子に口づけした。 蓮子は一瞬、驚いた表情を見せたが、すぐまた目を閉じた。 お互いの唇が離れた瞬間、蓮子はムッとした顔で僕を睨んだ。 「そこまでしていいなんて言ってない」 「好きだよ、蓮子」 「順番が逆!」 蓮子はまたムッとした表情を見せたが、今度はニッといたずらっ子のように笑った。 「今度は私の番ね」 言うなり、蓮子は僕の飲みかけだったコーラを口に含んだ。 そして僕の顔を両手ではさむと、強引に口づけをしてきた。 口から口へ、炭酸の抜けかけたコーラが流れ込んでくる。 今まで飲んできたコーラの中で、一番甘い味がした。 「へへっ、どう?」 蓮子は勝ち誇った表情で、僕を見下ろしてきた。 「今後何か飲むときは、全部蓮子に口移ししてもらおうかな」 「なっ……!調子乗りすぎ!」 顔を真っ赤にしながら、蓮子は右手の人差し指で僕の額を突いてきた。 ーーー 雨はほぼ上がったようで、空にはところどころ青空が見えた。 「あっ!見てみて!」 蓮子が指差した方角には、七色の虹が綺麗にアーチを描いていた。 「虹の端にはきっと何かがあるはず!さ、行きましょう」 そう言ってかけ出していく蓮子の左手には、ぎゅっと僕の右手が握られていた。 避難所 189 蓮子「明日バレンタインじゃん」 蓮子「○○のやつどうせ貰えないだろうからお情けであげたろw」 蓮子「……」 蓮子「でも市販のチョコはさすがにお情けがすぎるな…」 蓮子「『チョコ…作り方…』で検索…」ポチポチ ○○「おはよう太郎」 蓮子「オハヨ」 ○○「今日寒いね」 蓮子「ウン」 ○○「最近ちょっと暖かくなってきてたから油断しててさぁ」 蓮子「あのさ」ゴソ ○○「うん?」 蓮子「いや、なんでもない」 ○○「?…うん」 蓮子「……」(あげるのは貰えなかった時でええやろ…) △△「おはよう○○氏ウサミン氏」 ○○「その声は我が友△△ではないか」 △△「いかにも」 蓮子「おはよ」 ○○「あ、今日バレンタインだから。チョコあげる」スッ △△「!?」 蓮子「!?」 △△「き、気持ちは嬉しいけど拙者ノンケだからそのでも○○氏がどうしてもっていうならその」モジモジ ○○「なに勘違いしてんだ友チョコだろ友チョコ!!!!」 △△(Twitterで自慢しよう…) ○○「あ、蓮ちゃんにもあげる」スッ 蓮子「エッ?」 蓮子「あっ」 蓮子「ウン」 蓮子「…」(包装…△△と一緒…) 蓮子(……『友チョコ』……) ○○「授業終わった」 蓮子「帰りどっかよってく?」 ○○「このあとメリーさんに呼ばれてるからまた今度ね」 蓮子「…ウン…」 蓮子「…」コソコソ メリー「ま、○○くん。あの、ほら、今日…バレンタインだから…これ…\\\」 ○○「ええッ!?あ、ありがとう\\\あっこれ俺からも…」 メリー「ええッ!?○○くんからもくれるの!?アッ\\\えっと\\\そのっ…あ、ありがとう\\\」 蓮子(………) 『お情け』だったのだから、彼がもらえるのなら私が渡す必要はない。そのはずだ でもどうだろう。ほんとうに『渡さない』理由はそうなのだろうか 私が作ったやつより、良さそうな包装じゃん 私にくれたやつと、包装全然違うじゃん 途端に、居心地が悪くなった。 一人で帰路につき、鞄から自分のチョコを取り出す。 包装を解いて、一口かじる。 まっず…ハハッ、渡さなくて、良かったや どこにも、誰にも届かない言葉 まだ空が白い冬の寒さの残る2月、これからこの気持ちが雪が溶けていくみたいに暖かくなるにつれなくなっていくと信じて、苦くて苦くてたまらないチョコを飲み込んだ。
https://w.atwiki.jp/hengtouhou/pages/1871.html
テレキネシス(投擲)は4倍と見せかけて、普通は投擲に適した武器を使うので2倍にしかならない -- (名無しさん) 2017-09-10 15 12 44 が、シヴァ戦斧やブラックロッドが拾えれば十分すぎるほど強い。シヴァ戦斧は投擲指輪1つでTDが対J2700、対gレイマリ3200、対E3800。HDが低いがターンを刻めるので即死もしにくい。投擲は理力のMP消費が少ないのも○ -- (名無しさん) 2017-09-17 19 31 50 投擲したあと物が戻ってくる前に帰還が発動してしまうと投げたものはなくしてしまう。帰還中はおとなしくしていた方がいいようだ -- (名無しさん) 2018-11-14 14 27 37 ↑単純に盲目状態で投擲するとキャッチできないだけでした -- (名無しさん) 2018-11-17 07 28 05 極まると恐ろしい性能のクラスと化す。馬鹿みたいなACで打撃をシャットダウンし、超威力の投擲で敵を一体ずつ吹き飛ばしてゆく様はさながら重戦車である。 -- (名無しさん) 2019-02-04 22 26 58 一夜のクシナダ等の酒を持っていれば、緊急脱出に使えるな -- (名無しさん) 2020-04-13 01 00 14 アンバー含めたほぼ全てのユニークを「隣接」して「安全」に倒せる、おそらく唯一のクラス。常識外れのACで充填/魔力吸い打撃も気にせず殴り合うことが可能。注意すべきは分解>召喚コンボぐらいだが、これすら危険と云うにはほど遠い。この性能で光の剣&時止めまで可能なのは、はっきり言って反則級。戦闘のみを考えればおっきーなより数段上のぶっ壊れ性能だと思う -- (名無しさん) 2024-06-24 00 52 31
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/428.html
ナズーリン +1 ナズーリン1新ろだ627 新ろだ660 新ろだ698 新ろだ750 新ろだ843 新ろだ960 +2 ナズーリン2新ろだ2-057 新ろだ2-076(新ろだ2-057続き) 新ろだ2-255 新ろだ2-257 29スレ目 897 + イチャ絵板 2010/07/17(それぞれ別人による) Megalith 2011/10/15 Megalith 2011/10/26 +3 ナズーリン3Megalith 2011/11/22 35スレ目 347 35スレ目 399 35スレ目 413 +4 ナズーリン4 +5 ナズーリン5 長編 ゆめのなかへ (2) レス 1 35スレ目 257より後のレスはナズーリン3以降にまとめ
https://w.atwiki.jp/kodamasuru/pages/158.html
イチゴ J01-034/R カード名:《イチゴ》 キャラ名:「宇佐見秋彦」(うさみ あきひこ) LPリミット:40% キャラクターシンボル:キング 属性:宇佐見家 END:- 【メイン:Lv.2以上の時】あなたは自分の[【ムーン】]のサポートを1枚選び、アルバムに置くことで、山札からカードを3枚引く。 美咲「何に対抗してんだか、イチゴ商品を毎日買ってくるのだ」